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【保存版】創業時の事業計画書の書き方

2020年度秋の東京都の創業助成金の結果が掲載されました。

15%という採択率の中、事業計画書づくりをサポートした方の6名のうち残念ながら全員でないのだけど、2名が無事採択。

彼女、彼のこれからが楽しみです。
でも、サポートしていた方の名前があると自分のことのように嬉しいのです!

これからも熱い想いを持った事業者の方たちを全力で応援して行きます!

ところで、起業する時に作成を勧められる
「事業計画書」
の必要性についてよく聞かれます。

今日はそのことについて書きたいと思います。

事業計画書が必要になるケース

今回のような起業に関連する助成金や補助金へ応募したり、政策金融公庫や銀行などからお金を借りる(融資を受ける)場合。

この時には
「事業計画書」
は必須になります。

なぜなら、助成金や補助金を出したり、融資をしていいのか?の判断材料となるのが事業計画書だからです。

そして、その観点からすると
「とりあえずつくる」
のではなく、専門家に相談をして
「ちゃんとつくる」
必要があります。

ライジングでもサポートをしていますが、各自治体で実施している起業講座などで無料で作成支援をしているところもあります。

初めて作る人には自力だとちょっとハードルも高いし、助成金や補助金、融資の目的を考えた時に、一定レベルのものをつくる必要があるので、専門家にサポートしてもらった方がいいのですね。

助成金や補助金、融資などの必要性がない場合

では、助成金や補助金、融資などが必要ない場合はどうか?

端的に言えば、作らなくてもいい。
実際に、作らずに起業している人は山ほどいます。

ただ、事業計画書を作成しなくてもいいけど、記載する項目について整理しておくことは大事です。

なぜなら、そこがあいまいだと、その後の集客・マーケティングでつまづくからです。

だから、事業計画書という「モノ」は作らないとしても、そこに含まれる要素については考えて整理をしておくことが大事なのですね。

事業計画書の項目について

では、事業計画書に必要な項目は何か?
それは下記になります。

ビジネスの設計パート

1.創業動機とビジョン

事業計画書において、ここだけは純粋に
「自分の想い」
を書いていいい部分です。

▼創業動機
なぜ、その事業を始めようと思ったか?
僕が事業計画書作成のサポートの時に伝えているのは

「おぎゃーと生まれた時から、この事業をやろうと生まれてきた人はいない」

ということです。

つまり、生まれてから今日までの間に、その事業を始めようと思ったきっかけがある。
それが「いつ」「どこで」「どのような状況」の時に思ったのか。

それをIメッセージ(自分目線)で書きます。

▼ビジョン
事業計画書の場合は、基本的には、1年後、3年後、5年後までに具体的にどれくらいの規模で展開をしていきたいのか。

売上や利益、あるいは顧客数、あるいは、展開エリア(1年目は東京で展開、3年目には愛知、大阪、福岡まで展開)など具体的な数字を入れることで、どのスケールでの事業を立ち上げようとしているのかを書きます。

2.事業内容

ここから
「顧客目線(客観情報)」
になって行きます。

▼具体的な商品やサービス
端的に2つや3つなど、提供する商品やサービス名と「何を」提供するのかを書きます。

▼消費者の課題
商品やサービスに対し、人は
「悩みや課題、不安の解消や、得たい状況や未来といったニーズ」
のためにお金を払います。

人は自分が欲しいと思わないものには100円でさえ払いません。

例えばコンビニで飲み物ひとつを買うにしても、店員が勝手に勧めてきたものを買いませんよね。
僕らは自分が飲みたいものを買う。

だから、ここでは
「自分の事業の顧客はどんな人」(ペルソナ)
で、その人が抱えている
「悩みや課題、不安や、得たい状況や未来」
が何かを書きます。

ここで、半分くらいの方が間違えるのが
「これが必要である!」
「これを手にしたらよりよくなる」
という
「自分の想い=消費者の課題」
としてしまうことです。

そうではなく
「消費者自身が抱えている事実」
について書きます。

▼消費者の課題解決策
そして、その消費者の
「悩みや課題、不安、得たい状況や未来」
をどのように解決するのか(やり方)や、なぜ解決できるのか(理由)について書きます。

3.競合分析

ここは、既に似たような商品やサービスがある場合は、その競合について書きます。

▼競合の状況

競合の有無や、展開規模などについて書きます。

一般的には「同業他社」になりますが、もし、仮に「同業他社」の競合がない場合でも「競合」はあり得るので、視野を広げます。

例えばあながた
「お腹の引き締めに効果的なこれまでにない器具」
を開発し販売しようとしているとします。

これまでにない画期的な器具なので
「競合はない新たな商品です!」
はある意味事実です。

でも
「お腹引き締め」
ということであれば、他の器具や、エステサロン、パーソナルジムやサプリメントなどもあります。

つまり「課題解決」に対する「競合」というものも存在します。

▼優位性と他社比較
そして、競合に対するあなたの商品やサービスの優位性を書きます。

ここで2つ留意してください。

ひとつは、いかに自分の商品やサービスが優れているのか?を訴える場ではないというコト。
もうひとつは、すべてが競合に勝っていなくてもいいということです。

比較ポイントは
「消費者が選ぶ際の検討ポイント」
です。

そして、自分の対象者にとって大事な部分が競合よりも勝っていることが書ければいい。

例えば、今、スマホはカメラの性能や豊富な機能で競い合っています。

でも、高齢者を対象としたスマホであれば
「画面の見易さ」
「シンプルによく使う機能だけがすぐに使えるユーザインターフェース」
で勝っていればいいということです。

あとは、
「既に首都圏では当たり前」
になっているサービスでも、
「自分が事業展開する地方などの商圏においては存在しない」
場合などもあり得ますね。

4.ターゲット市場

▼市場規模
ここでは、全体の市場がどれくらいあるのかを書きます。
例えば、日本全国で、自分の対象消費者がどれくらいいるのか。

あるいは、業界全体の規模がどれくらいなのか。
統計情報などの客観的なリサーチ情報をベースに記載してください。

下記などが参考になるでしょう。

1.官庁統計データの活用
政府統計の総合窓口 https://www.e-stat.go.jp/

2.国ではないけど独立行政法人のデータの活用
J-net21
メニュー⇒「起業・創業に役立つ情報」⇒「市場調査データ」
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/research/index.html

3.民間のデータサイトや書籍の活用
Mpac(富士経済 年間12万)https://www2.fgn.jp/mpac/

業種別審査辞典(きんざい 1冊2万)
https://www.kinzai.jp/uploads/i-gyoshu13-sample/data/index.html

この3つめについては通常は有料ですが東京の場合「都立中央図書館」などでは無料で参照することができます。

▼具体的な市場
ここでは、あなたの商圏における市場について書きます。

例えば、実店舗で徒歩圏内の顧客がメインの場合は、そのエリアの人口統計や、実際の店舗予定地で、平日の朝昼晩、土日の朝昼晩の通行者数をカウントした数などを書きます。

ここは、後半の「販売数」の根拠にもなる数値になります。

5.マーケティング状況・結果

ここはとても大事な部分になります。

事業内容で書いた消費者の課題やニーズに対する、提供する商品やサービスが
「本当に必要とされているのか?」
の調査結果です。

一番いいのは、実際に提供してみるテストマーケティングです。
そうすることにより
1.実際の利用有無
2.利用してくれた人へのアンケートやヒアリングによる生の声
を集めることができるからです。

もしテストマーケティングが難しい場合はアンケートで対象顧客の声を集めます。
母数もよく聞かれるのですが、当然、10人程度だを少ないです。

最低でも50~100程度の母数は欲しい。

アンケートサービスなどを活用するものいいでしょう。
https://liskul.com/questionnaire-tool-24422

6.ビジネスモデル

ここはわかりやすく、あなたの事業に関わる登場人物(取引先や顧客)と、そこのモノや情報・サービスとお金の流れを図で記載します。

数値計画パート

ビジネスの設計が出来上がったらいよいよ数値計画です。
数値を入れることでより具体的に事業の可能性が見えてきます。

なお、初めて事業計画書を作成する時は、数値計算をする中でターゲットや規模を見直す必要性に気づくことがあります。
その場合は恐れずに
「ビジネスの設計」
に立ち戻り見直してください。

「ビジネスの設計パート」と「数値計画パート」を行き来することで、より事業の具体化、現実性が高まっていきます。

7.販売計画

ここは、わかりやすく言えば
「入ってくるお金」
について書きます。

1年目、2年目、3年目にどれくらいの販売見込みなのかと利益について記載します。

メーカーなど商品があり、販路が複数の場合は、販路別に記載。
逆にtoCで顧客は同じだがメニューが複数ある場合は、主要なメニュー別に記載。

8.仕入・経費計画

ここは、わかりやすく言えば
「出て行くお金」
について書きます。

1年目、2年目、3年目に主要な項目(売上原価、人件費、家賃、広告宣伝費、水道光熱費など)が発生するのかについて記載します。

9.事業化計画

ここは、わかりやすく言えば
「スケジュール」
です。

事業をスタートするまでに、まず「やるべき作業」を洗い出し「それをいつやるのか」について記載します。

10.資金計画

ここは、例えば店舗などを借りる場合は、不動会社へ支払う手付金や敷金、礼金、それから保証金や、内装費などの初期費用。

さらに事業が始まってすぐに売上が立つことは少ないため3ヶ月~6ヶ月の運転資金(事業を開始してから発生する「仕入:経費計画」で記載した事項の3ヶ月~6ヶ月分)。

この2つを足したものが事業当初に必要な資金になり。それをどのように工面するのか。

例えば、自己資金だけでまかなえればそれでOK。
自己資金で足りない場合は、政策金融公庫や信用金庫、銀行などからの借り入れ予定額を記載します。

11.資金繰り表

これはとても大事な部分です。

初年度について、月別の入るお金と出るお金のキャッシュフローのシミュレーションになります。
まずは埋めてみる。

すると月末に残るお金(次月の繰越金)が見える化されます。
これがマイナスになるということは資金が不足(ショート)することを意味します。

それを避けるためには、入るお金(販売計画)を上げるか、出るお金(仕入れ・経費計画)を下げるか、あるいは融資を受けるかが必要になります。

さらには、事業をスタートしたら、毎月、計画通りに推移しているのかをチェックすることで
「事業の健全性」
を見るのにも役立ちます。

12.収支計画

事業開始から3期分の収支です。

ここで、よく
「初年度から黒字化しなければいけないのか?」
と聞かれます。

これについては、資金がショートしない限りは、問題ありません。

事業種別により違いますが、初期投資が大きな事業は、1年目は赤字となるケースも多いです。
それを2年目、3年目でリカバリーしていく。

よって、3期分を記載するようになっています。

逆に、下手によく見せようと、数値を操作しないように気をつけてください。

13.事業リスク

ここは業計画書ではよくチェックされます。

どんな事業でも「リスク」はあります。
その想定されるリスクと、それが顕在化した時の対処方法について記載します。

ここがしっかり書かれていると
「この事業者は自分の事業についてしっかり把握できている」
と評価されます。

リスクというと悪いもののように思えるので、たまに
「リスクはありません!」
という人もいるのですが、そうではないですからね。

なお、一般的に想定される事業リスクは下記のようなものです。

立地環境の変化(流動人口の変化、開発計画)
後発者の参入(顧客をとられる、価格競争)
代替商品やザービスの登場(顧客をとられる、価格競争)
スタッフの転職・独立
法改正による営業機会の損失
各種の自然災害
取引国の政変や景気変化
権益を奪われた業界の反発
同業者・類似業者の反発
物流過程での破損
販売不振・在庫増加(思うように売れない、集客できない)
売掛金の回収遅延、資金調達リスク
規模・売上の急拡大
経営者の健康リスク etc

マーケティングや差別化において特に重要な部分

なお、基本的には全部について考えておいた方がいいのだけど、特に重要なのか
「ビジネスの設計パート」
です。

特に、ホームページ制作やSNSなどでの情報発信やPRなどマーケティングにおいて重要になるのが

1.創業動機とビジョン

2.事業内容
具体的な商品やサービス、消費者の課題、消費者の課題解決策

3.競合分析
競合の状況と優位性と他社比較

の3つです。

ここが明確になっているかどうかで、発信する情報の効果が変わってきます。
また、ここが明確になっていないと、差別化が出来ず、価格競争に巻き込まれたりします。

ここがあいまいな人は、まずはここからしっかり考えて整理してみてください。
ひとりだと難しい人は、専門家の力を借りると早いです。

まわりに相談できる人が見つからない、わかりやすく教えて欲しいという人は、
事業計画書作成パーソナルサポート
を活用ください。

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